仕事はバタバタ。見積もりも止まらない

この時期、意外と仕事がバタバタしてまして。私は現場に出るより、どっちかというと見積もりや計画の方なんですけど、それでも結構忙しいです。

来年の現場を受注するために、もう今から動いていかないと間に合わないので、今がまさに準備の段階って感じです。あとは、この時期にしかできない小工事も立て込んでいて、まあ慌ただしくしてましたね。

昼間に行う集合住宅の停電工事

昨日は停電工事がありまして。集合住宅だったので、かなりの世帯が対象になるんです。1時間ほどの停電ではあるんですけど、やっぱり皆さんの生活に関わるので、かなり気を遣いました。

事前にご案内を出して、エレベーターやコインランドリー、ポンプなんかも止まりますよって説明して。夜中の方が影響は少ないかもしれないけど、トラブルが起きたときの対応を考えると昼間がベターなんですよね。

停電中って何をしてるのかってよく聞かれるんですけど、今回は電力量計の移設と、幹線ケーブルの貼り替えでした。建物の一番大元の線を切って繋ぎ替える作業なので、どうしても停電が必要なんです。

電気って普段あるのが当たり前じゃないですか。でも、止まって初めてありがたみがわかるっていうか。そういう意味でも、意義のある工事だったかなと思います。

かつての停電工事で起きた事故

過去にも何度か停電工事はやってきたんですが、私が社長に変わるタイミングくらいに大きな事故が起きてしまいました。

かなり大規模な停電工事だったんですが、当時の担当者が十分な下調べをしていなかったり、指示が曖昧だったりして、切っちゃいけないケーブルを切ってしまったんです。で、建物全体の電気が止まってしまって。

私は会社にいたんですが、現場から「電気が全部止まっちゃってます」って連絡が入って、急いで駆けつけました。着いてみたら、建物だけじゃなくて周囲の信号まで止まってたんです。

住民対応と保険処理の嵐

想像以上に大変な事態でした。建物の住人だけでなく、周囲のコンビニまで停電していて、冷蔵庫の中の食品がダメになったり、信号が止まったことで交通にも影響が出たり。

エレベーターも動かないし、水も出ない。夏の暑い時期だったので、避難のために漫画喫茶に移った住人の方もいました。

もちろん全世帯にお詫びして、保険で対応できるものは保険で、それ以外は会社負担で一件一件対応していきました。

人的被害を免れた奇跡

結果的に、電力会社の引き込み線を切ってしまったことがわかったんですが、切断の瞬間に爆発も起きたんです。高圧ケーブルだったので、本当に命にかかわる事故でした。

爆発の原因となったケーブルは、ハンドホールと呼ばれる地中のマスから地上に出して切断していたんです。もしあれが中で作業している状態だったら、命にかかわっていたかもしれない。実際に作業していた人は服が焦げただけで済みましたが、煙を吸って病院に一日入院しました。

防げたミス、強まった反省

今振り返ると、防げたポイントはいくつもありました。任せていた担当者もベテランだったので、まさかという気持ちが強かったのですが、やっぱり調査や指示が不十分だった部分は否めませんでした。

この事故を通して、安全への意識は社内全体でガラッと変わったと思います。毎月の安全協議会も始まって、品質意識も高まった。自社の施工レベルは他社と比べても相当高くなってきていると感じています。

現場の安全意識が変わった

また、それぞれの現場での意識もぐっと上がりました。たとえば、現場の職人さんたちが「こんなところまで気を使えるんだな」って思う瞬間がすごく増えたんです。

細かいところへの気配りができるって、やっぱり“いい職人”だなって感じますよね。そういう人たちが会社にいてくれるのは、本当にありがたいです。

他社と比べても誇れるレベルに

たまに他社の施工現場を見る機会があるんですが、比べてみると自社のレベルは本当に高いと思います。

もちろん技術の向上も大事なんですけど、それ以上に「丁寧にやる」「安全を最優先にする」っていう気持ちの部分が何より大切だと思っていて。施工の精度って、そういう意識の積み重ねなんじゃないかなと思うんです。

ありがたいことに、それが現場の文化として根づいてきていると感じています。

当たり前を支えるということ

電気って、今の世の中では“あって当たり前”のものになってますよね。でも実際には、その当たり前を保つために、ものすごく多くの人が関わってるし、たくさんの工程や責任があるんです。

発電所で電気を作る人、送電・配電の人、そして私たちみたいな内線業者。どれか一つでもおろそかにしたら、生活が止まっちゃう。だから、私たちの仕事ってやっぱり命に関わる仕事だなって、改めて思います。

自分の身は自分で守る時代

BCP対策っていう言葉が世の中でも聞かれるようになって、会社としても非常用の発電機を導入するようになったところが増えました。

うちの会社も発電機を買いました。大きなものじゃないですけど「何かあったときに備える」っていうのが当たり前になってきてますよね。

停電って、いざ起きると何が困るか想像しづらい。でもそれを日頃からシミュレーションしておくことが、今後ますます大事になってくると思います。

自分たちの仕事に誇りを持てるように

この業界って、目立たないけど、なくてはならない仕事です。でも私は、それをすごく誇りに思っています。「あって当たり前」を支えてるって、実はとてもすごいことじゃないですか?

だから社員のみんなにも、自分の仕事にもっと自信を持ってほしいし、誇りを持って取り組んでもらいたい。そう思って、日々いろんなことを伝えています。

事故をきっかけに得たもの

正直、あの事故が起きたときは、本当に辛かったです。生きた心地がしなかった。でも、それがあったからこそ、今の自分たちがあると思うんですよね。

安全意識が強くなったし、社員の気持ちもまとまった。もちろん、事故は二度と起こしちゃいけないことです。でも、あのとき真剣に向き合ったからこそ、今の会社の土台ができてるんじゃないかなと思います。

もう事故からはだいぶ時間も経って、私自身の中ではようやく気持ちの整理もできてきました。でも、あのときにご迷惑をおかけした方々への感謝と反省の気持ちは、今でもずっと持ち続けています。

そして今後も、社員一人ひとりが安全意識を持って「当たり前」をちゃんと守れる会社であり続けたいなと思っています。

それでは今週もご安全に。