新入社員研修は“詰め込む1日”
春になると、新入社員が入ってくる季節ですよね。うちは新卒採用はあまりやっていなくて、中途採用がメインなんですけど、最近は派遣社員の方にもお願いすることが増えてきました。実は、つい先日も2人目の派遣さんが初出社したところでして、その日が研修日になったんです。
岡田電気工事では初日に丸一日かけて“新入社員研修”を行います。午前中は会社のビジョンや日報の書き方、勤務時間、休憩の取り方といった基本的なルールを説明します。そして午後は電気の基礎知識、現場の流れ、安全教育などを行うんです。
実はこれ、“雇い入れ時教育”として法的にも義務づけられていて、現場に出る前に「会社でちゃんと教育を受けましたか?」という確認アンケートを出さなきゃいけないんですよ。だから必ずやります。
理念の次は創業の話から
研修の冒頭で伝えるのが会社の理念です。「くらしに、あかりを。」っていう言葉を掲げていて、これはお客様の暮らしに安心で安全な電気を届けるという意味はもちろんなんですけど、それ以上に「心にもあかりを灯そう」という気持ちも込めているんです。
そのあとは、会社の成り立ちや、先代から聞いた創業当時の話なんかも伝えます。で、最後には「チャレンジ精神を持って自発的に動いてくれたら、こっちも成長の機会は用意するからね」って投げかけるようにしています。
それから総務にバトンタッチしてルールや提出書類の説明、ルールブックの読み合わせなんかをやってもらってます。
雑誌「電気と工事」から感じた未経験者の壁
二宮さんから「本屋で『電気と工事』って雑誌を見たんですけど、資格試験の問題が全然わからなかったです」って話を聞いたんです。
あの雑誌って試験向けの問題が載ってるんですよ。抵抗とか、オームの法則とか、回路図とか。確かに文系の方からしたら「え、電気ってこんなに理系なの?」って驚くと思うんです。
資格は難しいけど、入口は楽しく
試験問題を見て「あ、ここから入っちゃダメだな」って思いました。あれを最初に見ちゃうと「電気って難しそう…」って感じちゃって、せっかくの興味がなくなっちゃうかもしれない。だから、もっと“面白そう”って思える入口から入るべきだと思ってて。
理科の授業だって、教科書読むより先に実験が面白かったじゃないですか? だから、電気もまずは「なんかすげぇな!」って思える体験があって、そのあとに知識がついてくるって順番でいいと思うんです。
マナー研修は“できる前提”じゃない
最近のニュースで新入社員が初日とか数日で辞めちゃうって話をよく見かけますよね。大手でもそうなんだなって驚くことがあります。マナー研修から始まると、やっぱり「なんで今さらマナーなんて…」って思う人も多いんじゃないかと思います。
でも、実際にやってみると意外とできてない人、多いんですよ。わかってるつもりでも、実際にやるとなると「うまくできない」ってなる。だからこそ、丁寧に教える意味があると思ってます。
過去の研修体験から思うこと
ちなみに、私自身もマナー研修はちゃんと受けたんです。
最初に勤務した会社は外部に委託して、東京・麻布の研修センターでやってました。上下グレーのスウェットを着せられて、ラジオ体操やらされてね、今日の研修で感じたことを各自 1分でスピーチ! みたいな感じで体育会系の。
でも、あれが意外と効いたというか「社会人としてちゃんとやらなきゃ」って気持ちになったんですよね。
ちゃんと見てるよ、というメッセージ
そのとき感じたのが「会社って、研修もちゃんと見てるな」ってことです。たとえ外注の研修でも「この人どんな姿勢で研修受けてたか」って報告されてるんじゃないかなって。だからこそ「真面目にやってるよ」っていう姿勢を見せるって、大事だと思ってます。
厳しい研修ではあったけど、今となってはやってよかったなと思えるんです。やっぱり最初にちょっとキツイくらいの方が、印象に残るんですよね。それが、自分の中で“社会人としてのスタートライン”になる気がしています。
それではみなさん、今日もご安全に。

話し手
勝谷 篤史
株式会社岡田電気工事代表取締役
義父が経営する岡田電気工事の事業承継のタイミングで業界未経験ながらも転身。現在は同社の代表取締役として皆様のお力を借りなからなんとかやっています。